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イントロダクション
情報は強力なパワーを持っています。有用な情報を正しく理解することによって、個人やコミュニティは日々の暮らしを改善し、未来に対して正しい判断を行うことができるようになります。そしていま現在、私たちの日々の生活には、多くの組織や人々が関わっています。例えば政府やNGO、そしてNPOや一般市民といったそれらの人々が良質な情報を得ることができれば、各々の組織や個人は判断をしやすくなり、結果として、私たちの日々の生活は少しずつ、改善に向かうはずです。 地図とは、私たちの世界をシンボルとして可視化したものです。誰かに自分のアイデアを伝えるとき、単に言葉で説明するよりも、地図の上に示すほうが説明しやすいことはよくあります。この問いかけはいわば、重要な質問への回答を導く鍵となります。 ここから一番近い学校施設や病院の位置はどこなのでしょうか。それらの施設へゆくには、どこへ連絡すればよいのでしょうか。あるいは、生活が困窮している住民が多い地域はどこなのでしょうか。 こういった質問に対しては、地図を使って答える方法が最もわかりやすい方法であり、さらに地図を使うことによって、こうした課題の解決の糸口が見つかることもしばしばです。 試しに、あなたの手元にある紙とペンを使って、あなたの住む街の地図を紙に描いてみてください。地図の上に何かを描くとして、最も表したいものはなんでしょうか。最も伝えたい情報とはなんでしょうか。地図を描く数分の間、そして地図を描き終えた後、少し考えてみてください。地図の上に記述した事柄は、なぜ重要だったのでしょうか、そしてその事柄は、誰にとって重要なのでしょうか。 あなたが住んでいる場所がどこであれ、大抵の場合、地図には道路が描かれることでしょう。また、時には河川や小川が描かれているかもしれませんし、学校やオフィスなどの重要な建物や、田園や山林といった土地の利用方法、あるいは何かしらの境界線を描いているかもしれません。そして、あなたが何を描いたとしても、そこには何らかのシンボルが使われているはずです。例えば、道路を表す線や建物を表す四角形などもシンボルのひとつです。あなたの描いた地図は、その土地に何が存在しているのか、を表現しています。 あなたが描いた地図には情報が埋め込まれています。あなたの近くの地域で事件が発生した時、あるいは単純にあなたが誰かに助言を求める場合など、誰かに地域の説明をする際には、このような手書きの地図が描かれ、使われます。しかしながら、あなたの描いた地図の使い道はとても限定的です。その地図は1枚だけしかありませんし、さらに、あなたの観点による記述はあなたにとってのみ価値があるものです。異なった観点をもつ他の誰かにとって、あなたの地図がそのまま意味を持つとは限りません。あなたの描いた地図は、そのままでは紙の上に描かれた単なる点と線に過ぎず、他の人がそこから情報を得ることは困難なのです。そこでコンピュータ上の地図の出番です。地図はコンピュータの上に描かれることによって、誰もがアクセスできるものとなり、その価値が増えるのです。 OpenStreetMapとは地図そのものを作成し、さらに地図に描かれたさまざまな情報を共有するためのツールです。OSMへは誰でも手を加えることができます。そして実際、毎日数千人もの人たちが、このプロジェクトへの加筆修正を加えています。このプロジェクトでは、地図を紙ではなくコンピュータの上に描きます。ですが、このガイドの中で紹介されているように、コンピュータを使っても、紙を使っても、地図の書き方に大きな違いはありません。土地の利用方法や道路などを示すには線を描きますし、学校や病院を表すにはシンボルを使います。重要なのは、OSMはインターネットの上に保存され、誰しもがアクセスでき、すべてが自由 (フリー) である、ということです。 OpenStreetMapがあなたの活動にとって興味深く使いやすいものになるように、そしてさらに、このガイドを手引きとして、あなたもまたOSMというデジタル地図を描くようになってもらえることを、私たちは願っています。
この章はわかりやすかったでしょうか?
分かりづらかったポイントがあれば教えていただけると幸いです
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